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書状に一通り目を通したマリア・テレジアは額に手を当てため息を吐いた。
「フランスはこの結婚に乗り気とは言えないわ…。ルイ15世の孫で王太子のルイ・オーギュストにはマリア・アントニアがぴったりなのに…」
メルシー伯が、言う。
「このようなことは大変言いにくいのですが皇女様は少々奔放過ぎるのではないかと…」
マリア・テレジアは弱々しい笑みを浮かべて顔を上げた後、告げた。
「それは私もよくわかってるわ。アントニアのあの享楽的で忍耐力のない性質は、私の夫であの子の父であるフランツそっくり。このオーストリアで皇女としての内は許されても、フランス王室であの奔放過ぎる性質が許されるとは思えない」
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