プロローグ

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 この世界で最も大きな大陸がユリシア大陸。アルキメド王国はその大陸の中でも最も大きな国である。  その首都であるアルケスは様々な人間が行き交い人々の喧噪で賑わっている。   王国と冠する通り、アルケスには王城が荘厳な様子でそびえ立ち、行き交う人々の様子を静かに見守っている。  しかし今日は特別に賑わっているようだ。人の移動をスムーズにするために敷かれた街路も、異常な人の多さにその効果を失っている。 「すいません!ちょっと空けてください!」  一向に動く気配のない渋滞に耐えきれなかったのか、一人の少女が「すいません」と断りながら人混みをかき分けてくる。美しい金色の髪に蒼色の眼、顔立ちは整っており、その姿からはどこか気品を感じる。 『おい、あれメルディムさんとこの娘さんじゃないか? 母親に似て随分と美人に育ったもんだ』 『ほんとだ。なら、今日の入学式に出るのかな』  そう、この人混みの原因は各国から有望な学生たちが集まる王立アルケス学園の入学式である。次世代を担う若者たちを一目見ようと近隣から人々が押しかけているのだった。  
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