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「………」
そんな街の様子を屋根の上から静かに見守る者が一人。
目元を隠すほどに伸ばされた黒髪。見つめた者を射貫くような鋭い黒眼。その少年の表情はどこか冷めていた。何を考えているのかその表情からは全く読み取れない。
『あの子も新入生なのかな……』
『さあ……まあ制服着てるしそうじゃないの? 何考え込んでんだろ?』
『なんで屋根の上登ってんだろ……ていうか入学式行かないのかな? あとちょっとで始まるんだけど……』
そんな声を聞いてハッとしたように立ち上がって屋根の上を駆けていった。
『あっやっぱり新入生だったみたいだね。結局何してたんだ?』
『かっこつけてただけじゃないの?』
ハハハとそこを中心に笑いが巻き起こる。
(遅刻してしまう…!)
当の本人は必死だった。
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