不幸な任務

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 トントン。誰かがテオの肩を優しく叩く。 (無視してればやめるだろ)  あくまでテオはそのスタンスを保とうとしていた。しかし。  トントン。  トントン。  トントントントントントントントントントトントントントトントントン。 「……何だ」  打ち破られてしまう。しかも途中からリズムを刻んでいたようだ。  テオが体を起こすと、闖入者は、その少女はパッとその笑顔を輝かせて、 「あっ、よかったぁ。突っ伏してるから具合でも悪いのかと思って」 「そうか」 「うん……」 「………」  沈黙が流れる。少女は心配してくれていたわけで、テオは感謝こそするべきなのだが、予定が狂ってしまったのが原因なのか、なんとも不機嫌な顔つきだった。  そんなテオの反応を見て、少女は何も悪くないのに一人悩んでいた。 (どうしよう……怒らせちゃったかな)  一方テオは、 (あっ窓の外に蝶が飛んでる)  まったく違うことを考えていた。どうやら不機嫌な顔は常日頃からしているようだった。
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