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「あの……えっと……私はティアラ・メルディム。よ、よろしくね」
少女はライオンにエサでもやるように自己紹介した。
「……ああ、よろしく」
テオはやはり不機嫌そうに返事して、もう用は終わったと言わんばかりに再び机に突っ伏してしまった。
「あっ……」
(名前聞けなかったぁ……)
ティアラは未練を残した顔でその場を去り、自分の席に着いたようだった。
一方テオは机に突っ伏しながら考えていた。
(そういえば同年代の人間と話したのは初めてか)
テオは幼いときから大人に混じって仕事をしていたため、同年代と接する機会がなかった。
そのためにこんなちょっとした会話でも感慨深く思ってしまう。
会話らしい会話とは到底言えないが。
しばらく突っ伏していると担任らしき人物が教室に入ってきたので、立ち話をしていた生徒は自分の席に戻った。
テオも仕方なく顔を上げる。
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