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「入学式に出席するのが自分のお父さんとかお母さんじゃなくて」
「はい。何だかんだでお父さんもお母さんも忙しい人ですから……私の入学式のために態々朝早くこっちに来させるのも何だか悪いですし」
「そっか。幸ちゃんがそう言うのならそれでいいけど……でもさ」
佐和子は言う。
「朝早く来させるのが悪いとか、そういう気遣いをさせなくていいのが家族だと私は思うのよね。それが入学式という人生でそれなりの晴れ舞台となれば尚更」
「……佐和子さん」
「……まあ」
言って、佐和子は幸に笑みを見せた。
「これはあくまで私の自論だけどね。さっきも言ったけど、幸ちゃんがそれで構わないのなら私はこれ以上何も言わないわ」
「あ、はい。その……ありがとうございます」
「何でお礼を言うのよ。さあ、『聖華学園』に行きましょう。幸ちゃんの入学を祝うために!」
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