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「レッツゴー!」とそう叫んで佐和子は廊下を進み、階段を下り始める。
それに続いて幸も翔太の部屋を出て行く。小さな背中を翔太に向けて、部屋の入り口を潜り、廊下を曲がるその瞬間。
翔太は幸の横顔に浮かぶどこか寂しげな表情を捉えるのだった。
◆ ◆ ◆
「いやー、悪いな、幸ちゃん」
玄関にて翔太の父である亮祐は申し訳無さそうに両手を合わせながら苦笑を浮かべて言う。
「今日は仕事があってさ。入学式に出られなくて本当にごめんな」
「仕事があるのなら仕方がないですよ」
「おお、そう言ってくれるか」
「佐和子さんは私のために仕事を1日休んでくれましたけど」
「ぐっ……! あ、相変わらず幸ちゃんの言葉は一つ一つのダメージが大きいな……!」
「そうだぞ、親父。親父も母さんを見習えよ」
「おいこら翔太。何をさり気無く幸ちゃんに便乗してお前も毒舌吐いてきてるんだよ」
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