01.聖華学園入学式

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「結構早く着いたな……」 入学式会場である体育館にて翔太は腕時計を見下ろして呟く。現在、体育館内には所狭しと保護者用のパイプ椅子が並べられており、会場内は今年見事『聖華学園』に合格を果たした新一年生の保護者の面々達の声で賑わっていた。 「暇ならその辺散歩してきたら?」 パイプ椅子に座っている佐和子は言う。無論、翔太も佐和子の隣のパイプ椅子に座っている。 「友達の中に今年兄弟か姉妹が入学しましたって人はいないの?」 「そう言えば、『聖華学園』を受けるとは聞いたけど合格したのかまでは聞いてなかったな……まあ、別に散歩してきてもいいんだけどさ」 「けど?」 「俺がこの席を立ってどこかに行ったら母さんが寂しがるかなって」 「さ・み・し・が・り・ま・せ・ん! 何の心配よ!」
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