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4月8日。午前7時頃のこと。
カーテンの開け放たれた窓から射し込む太陽の光を浴びながら翔太はせっせと寝間着から私服へと着替えていた。
「おにーちゃーん」
そんな間の抜けた声が聞こえたかと思うや否や、部屋の扉がノックも無しに開かれた。
「起きてるー?」
「起きてるよ。ていうか、部屋のドアを開ける時はノックくらいしろ」
扉の向こうから現れたツインテールの少女、幸に向かって翔太は言う。
「ノック、ねえ。ノックしないで部屋の扉を開けると、もれなくおにーちゃんの着替え姿を覗けるという特典がですね」
「今度母さんにドアに鍵を付けてもらえるように頼むかな」
「待って。待とう、おにーちゃん。考え直さない?」
「その前にノックの件についてお前が先に考え直せ」
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