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2015年9月4日
午後2時55分 新宿御苑・芝生広場
平日でありながら新宿御苑には、観光客どころか従業員の姿もなかった。三箇所にある公園に入れるゲートには、「特別臨時休業」という看板がかけられていた。
ただ一人、公園内にある中央休憩所の近くにある芝生の上にいる人物を覗けば。
折りたたみ式のチェストにもたれかかりながら、紅井渚はソフトクリームを舐めながら午後のひと時を満喫している。一見、ただのピクニックにも見えかねないが、彼の周囲には数人の男たちが瀕死の重傷で気を失っていた。
事の発端は、今から二時間前まで遡る。
麻薬密売現場にて渚の命を狙った男達は、彼に懸けられた莫大な懸賞金が狙いだった。それを狙って世界中から殺し屋たちが集まっていることを知った渚は一計を案じたのだ。
「本気ですか? 警部」
渚の計画を聞いた柊は驚いた。
「ん~、うだうだやるのは性に合わないし。下手に街中で襲撃されて一般人に被害出すわけにもいかないじゃん」
あっけらかんと渚は答える。
「情報を流して。あたしの命が欲しい奴は午後三時に新宿御苑に集合ってね。」
渚は、殺し屋達の一掃と黒幕への手がかりを知る為に一計を案じていたのだ。
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