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都内某所
とある地下駐車場の一画。
赤いボディに白いストライプの入ったローバーミニのボンネットに、黒いコートの男は腰掛けながらいかにも官僚風の男が前に立ち手渡された書類に目を通していた。
「それが、我々内閣情報調査室が君らCIAに協力できるある男についての唯一の情報だ」
自らを内閣情報調査室と名乗る官僚風の男は言いながら、ローバーミニの運転席に座っているもう一人の男を見る。鋭い眼光と灰色のツナギを着ているその男は二人のやり取りを静かに見ているようだった。
「その情報の見返りに、動物園についてのことを教えてもらいたい」
官僚風の男は書類を見ているだけで一言も口にしない男に尋ねる。
男は、上着のポケットからタバコを取り出すとジッポーで火をつけ大きく煙を吸い込むと吐き出す。
「国際的犯罪請負テロ組織『動物園』。誘拐、暗殺、爆破に乗っ取り。中米やヨーロッパで猛威を振るってきた。金でテロを請負実行する。正真正銘のクソ野郎共だ。俺が潰してやりたいと考えている組織の一つだ。」
男は静かに言う。
「そうだ。先日の斑元自衛官の事件にも奴らがバックにいるという事までは君らも知っているはずだ。その動物園が明日何らかのテロを行うと言う情報が今朝入ってきた。」
官僚風の男の言葉に、タバコを吸いながら書類を見ていた男の手が止まる。
「現時点では、情報が少ない。動物園の詳細がまるで不明なのだ。」
「警視庁の紅井渚という刑事を知っているか?」
男はタバコを携帯灰皿に押し込みながら言う。
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