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「ふぅ、ごちそうさま」
ピーンポーン。
食べ終わると同時にインターホンが鳴る。
真奈は頼りになる、もしもう近づいている事を教えてもらっていなければまだ食べ終わっていないだろう。
悠斗も真奈も既に準備はできている為、このまま出て行く形となる。
「おっはよー!」
玄関の方から明るくこちらまで元気になりそうな声が聞こえる。
この声の主がさっき話題に出ていた空という女の子だ。
「じゃ、行ってきます父さん。」
「いつも通り兄さんの食器は私が洗いますのでそのまま置いといてください。」
「ああ、うん、わかったよ、帰って来たら、また詳しい話をしよう。」
「ねぇねぇ悠斗!今日は5分も早く起きたんだよ!」
玄関に向かうと既に空が待っていて、悠斗達の顔を見た途端、空が心底嬉しそうに話す。
「5分でそこまで嬉しいものか?」
そう聞くと空に、え?何聞いてんの?みたいな顔をされた。そこまでっ!?
「あのねぇ……学校までいつもより早く行くとかじゃないんだよ?起きる事がどれだけの」
空が熱く語り出した。
こうゆう状態になる事は滅多に無いが、こうなると面倒なのは知っていたので、ここは無視するべきだろう。
「じゃあ行きましょうか、兄さん。」
真奈がニコッと笑う、いつの間に靴を履いていたのか気づかなかったが、真奈も無視と決めたらしい。
それか恐らく、悠斗が無視するとわかったからだろう。
家を出ようとした時、悠斗は靴箱の上にある忘れ物に気がついた。
「真奈、忘れ物だ。」
真奈に20センチほどの白い杖を渡す。
「あっ、ありがとうございます兄さん。」
「ほら二人とも!早くしないと遅刻するよ!」
いつの間にか我に返った空がニコニコしながらそう言った。
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