第1章 いつも通りの日々から

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結構気さくな奴で、息が合ってすぐに仲良くなった。 「やほー!」 「お待たせしました、兄さん」 空と真奈がやってくる、こうやって4人で食べるのがいつもの日常。 最初の頃はあまりにカラフルで周りによく注目された。 正確には今でも注目は受けている、なんでも「美男美女の優雅な昼食」とかなんとか、まぁ俺は智宏のおまけだろうけど 今日の弁当もおにぎりだった。朝ギリギリに起きて時間と戦いながら必死に握って来たのだ。 「おっ、今日も空はおにぎりか」 「うんっ、そうだよ。」 悠斗はよく飽きないなーと笑う。 チラッと悠斗の弁当を見ると真奈とお揃いの、栄養バランスがよく取れてそうでどのおかずも美味しそうに並べられている弁当だった。 その時智宏があちゃーっというポーズをする。 「しまったな、箸を忘れてしまった。」 そしてはははと笑いながらチラッ悠斗を見る。 空はきたっと思った。 「ったくまたか?これで何回目だよ」 とか言いつつ見捨てるわけにはいかず、悠斗はまだ使っていなかった自分の箸を渡す。 「いやすまない、予備の補充も忘れてしまっててな」 はははと苦笑いしながら箸を受け取る智則。 空はこの瞬間を待っていた、おにぎりなら箸を使わずに食べれる!!! 「では兄さんは私の(使いかけ)を使ってください。」 「おう、さんきゅ」 悠斗に箸を渡すと、真奈は持ってきていた自分の鞄から予備の箸を取り出しそれを使い始めた。 「……」 流石に言い出せなかった。 何故なら、予備を出す前に空がおにぎりを渡せば、性格的に真奈は予備を出さずに引き下がるだろう、しかしそれでは悠斗の弁当が無駄になってしまう。それはダメだと空は思っているからだ。 (……というか、その予備をどっちかに渡せばいいんじゃないのかな?……まあいっか) 空はそう思ったが、それもいつもの事なので気にせず食べ始めた。 食べながら悠斗はふと今朝の話を思い出す。 魔法国際連合、父さんも昔所属していて人助けや汚れ仕事何かもよくしていたようだ。 そんな機関に入りたい俺の夢は、魔法を使って沢山の人を救う事。 せっかくこんな力があるのに、役立てなくてどうするんだ。 「あれ?ねぇウインナー食べないの?」 変わらない日常、それが何よりも大事だという事を知っているつもりだ。 「おーい?いらないなら貰っちゃうよ。」 だから守る、こんなにも平凡な毎日を。
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