なんとなく

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  中学3年、夏休み明けのかったるい5時間目。 クソ暑いこの最中に体育館に集められ、『受験の心得』なるものを聞かされて。 息も絶え絶え教室に戻った俺たちに配られたのは、『志望校調べ』のプリントだ。 俺は進路なんか決めてない。 いや、成績で考えればしぼれるっちゃしぼれるけど。 こう、決定的な決め手がないっていうか。 教室の前方を眺めたら、加藤が友達と集まって笑っていた。 あいつは女子校に行くらしい。 成績も合格ラインに乗っていて、何の問題もないって。 女バスの連中とワイワイはしゃいでた時に、聞こえた会話。 告白する勇気や、そこまでの思い入れもないし、高校が離れたら、たぶん忘れる恋。 パシパシとプリントを指で弾きながら、今度は視線を教室の窓際に移した。 あ、あいつ、また寝てるし。 あの調子じゃ、プリント白紙だな。 どーすんだよ、第1志望から第3志望まで欄があって、しかも滑り止めの欄まであんのに。  
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