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注文したレモンの輪切りが浮かぶアイスティーにガムシロップを入れ、ストローを咥える。
既に味もよく分からないほどに緊張してる私をよそに、余裕の見える先輩はコーヒーと一緒に頼んだミラノサンドを口に運ぶ。
一口分を飲み込むと、口元に意地悪そうな笑みを浮かべながら私の顔をじっと見つめる。
「白井でも緊張するんだな」
「あがり症……なんです、たぶん」
「うちの会社の面接のときは余裕そうだったのに?」
もう数年前の事なのに。
「ダメ元だったっていうのもありますけど、ちゃんと緊張してましたよ?」
あの時、先輩も事務所に居たんだ。そんな事すら覚えてない程に、周りは見えてなかった。
居たら覚えてそうな気もするけど――社長の顔すら緊張し過ぎて、よく覚えてなかったし。
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