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年上の人に”可愛い”と言うのも失礼かもしれないけど、奥様……撫子さんにはしっくりくる。
「もちろん! 私も白井さんの事、えーっと……」
声を弾ませた勢いの良い返事の後、首を傾げながら視線を反らし、片眉を軽く上げる。
その一つ一つの動作が柔らかく、嫌味が全く無い。
「雪乃です」
「雪乃ちゃんって呼ぶね。蘇芳は”白”って呼んでるみたいだけど」
撫子さんの旦那さんである社長の事、苗字で呼ぶんだ。
「あ、はい。南希――紺野の事は”紺”ですし」
「失礼しちゃうわよね。女の子二人の事をそんな風に呼ぶなんて。どうせなら桃矢君の事も”桃”って呼べば良いのに。……あ、ごめん。そろそろ仕事始めなきゃ」
二人で小さく笑いあった後、処理する伝票の束に手を伸ばした。
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