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「別に気にしなくても……今までと同じように私が飲みたいときは、ついでに淹れますし」
「――それにしても指先と手、綺麗だよな」
溜息を吐くかのようにさらっと先輩の口をついて出てきた言葉に、何故かドキッとする。
褒められ慣れないのと、何よりも急で……何の脈絡もなく出てきたから。
しかも何でこんな時にそんなに色っぽい口調で言うんだろ。もっと他に使いどころが有るだろうに。
「……そうですかね?」
「指輪とか、似合うだろうに。しないの?」
「あんまり持って無いですし――プレゼントしてくれる人も居ませんからね」
「不貞腐れるなって。可愛くないぞ」
そう言いながら、私の頭を撫でる。
そんな事をしているうちにサーバーにはコーヒーが溜まり、辺りには仄かに香りが広がっていた。
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