Cyan

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 お昼をちょっと過ぎた頃のビジネス街は人で溢れていた。 午後から打ち合わせのため、少し事務所を先輩と早めに出て立ち寄った喫茶店。 ついさっきまでは空いていた店内が、どんどん人で埋まっていく。 「やっぱり蕎麦屋が良かったんじゃないか?」 「緊張してて、何も喉に通らなそうで……」  着慣れてないスーツに身を包み、片手には書類が折れ曲がらないで入る、大きめの鞄。 先輩には 「就活生みたいだな」 とからかわれるし――自分で鏡を見ても、そう思う。スーツじゃなくて、もうちょっと他のでも良かったらしい。 片や先輩は、見慣れないながらもスーツをこなれた感じで着ていて、見た目はマトモ。 中身は普段と変わらないけど。
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