Blue

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◆  彼の家から電車ならば一駅、徒歩でも苦にならない距離にある私の勤める会社は、住宅街の一角にある。 『D-Design』と書かれた表札の部屋に一歩入れば、そこが職場。 従業員数も少ないし職場自体も広くはないが、やっている事は大きい――と思う。 社長の受け売りだけど。 出来る仕事とあらば拒まず……広告だったり、商品だったり、ホームページの作成だったり。 「おはようございます」 「おお、白井。コーヒー淹れて」  朝の挨拶も無しに、こんなことを頼んでくるのは先輩の桃矢亮輔(とうや・りょうすけ)――腕は良いし、仕事に関しては尊敬出来るが人使いがたまに荒い。 特に私に対しては厳しい、というよりもお茶汲み程度にしか思っていない節がある。
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