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今まで俺が見て来た未来予知は、落し物をしたり、鳥の糞に命中したり、軽い怪我をする等、どれも軽いものだった。
だが今回見た未来予知は全く洒落になってない。
あれは怪我どころの騒ぎではない。最悪人の命に関わっている。
人の流れを掻い潜りながら、必死に思考を働かせる。
校舎のデカさに比例して階段の数もアホみたいに多い。
無暗に階段を探して走っても、見つけられる確率はほぼ0だろう。
それに時間の関係もある。
俺がこれまで見て来た未来予知は、見たから最長で約2分後に未来予知と同じ事が起こってきた。
時間的にも全く余裕もない。一発でその階段を探し当てなければならないのだ。
それでも間に合うか分からないが・・・。
走りながら、階段の場所の情報を得る為に必死に未来予知で見た映像を思い浮かべる。
何か場所のヒント・目印のなるものを探し、見つけ出す。
1つは男子生徒が見ていた部活紹介のポスター。
部活紹介のポスターはどの階段にも貼ってあるのだが、数あるポスターの中に新聞部のポスターが映っていた。
新聞部のポスターの場所には心当たりがある。
何故なら新聞部のポスターを貼ったのは俺なのだ。
とある事情により新聞部のポスターを貼り付ける事になった俺は、階段の所に5枚、廊下に5枚で計10枚のポスターを適当に貼り付けた。
ポスターを貼った時の周りに貼ってあった他の部のポスターまでは覚えていないが、俺が階段付近に貼り付けた5枚のポスターの場所は今でもちゃんと覚えている。
これで階段の数は5つに絞られる。
2つ目は女子生徒は階段を上りきった男子生徒と所でぶつかった。これは最低でも1階ではなく2階以上の場所を意味する。
地味で分かりきっている事だが、これで1階の階段付近で貼った2枚のポスター場所が除外され、3つに絞られた。
最後に女子生徒が階段から落ちた時と同時に段ボールから中から出てきて散乱した教科書。
あの教科書の表紙は美術の資料集だった。
恐らく次の選択授業に使うのだろう。
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