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「わ、蓮ちゃん朝からエロエロなサイト見てる! やーらしぃ!」
「見てねえ! あと引っ付くな、離れろ今すぐに!」
じゃれるように首に腕を回すさくらの顔面を掴んで引き剥がす。これ以上PCを開いていると何を言われるかわかったものではない。
にやーにゃー騒ぐ彼女の顔を掴んだまま、片手で操作し電源を落として片付ける。
「ああ、そうだ。そういえばさくらさん、ラキから忘れ物したって聞いたんですけど。一体何を?」
ふと思い出したようにリナリアがさくらに質問する。確かにそうだ。さくらが何か忘れ物をしたせいで、今朝はいろはに会えなかったのだから。
ちなみに、いろはとは蓮華の妹の名前だ。
「あ、気になる? リナくん気になっちゃう? 蓮ちゃんも気になる? 私が何忘れたか知りたい?」
「や、その態度が果てしなくウザイんで別にいいっす」
「にゃ! 蓮ちゃんが冷たいよぉ!」
「安心しろ。おまえ以外の美少女には基本優しいから」
「安心出来る要素がないよ!」
再び騒ぎ出したところで、SHRの始まりを知らせる鐘が鳴った。電子音ではない、本物の鐘の音が。
学園の中心に聳える白亜の時計塔。そこにはギルドの由来ともなっている大鐘楼があるのだ。
誰でも登ることが出来るが、蓮華は面倒くさくて行ったことはない。
「ほら、さっさと自分の席に戻れ」
「ちぇー」
しっしっと手を振り追い払う。頬を膨らませながらも、渋々といった感じで自分の机に着席した。
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