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『大丈夫さ。やり方は簡単だよ』
………………。
渋る男に悪魔はとどめの一言を放つ。
『君の馬鹿にした人達を見返したくないのかい?』
そうだ。奴らを見返せるのなら、僕の芸術を世間に認めさせられるなら。
その為なら僕は悪魔とだって手を結ぶ。
命だってくれてやる。
『契約成立。君にピッタリの悪魔をあげるよ』
そうして男は、悪魔に魂を売り渡した。
◇
人は誰しも、自分が特別だと思う生き物だ。
自分だけは大丈夫だと。
まるでテレビの中の出来事のように、人は死をリアルなものとは感じない。
人が日常を生きていけるのは、死の存在を軽んじているからだ。
思い出させてやる。
死を。
教えてやる。
君達の『生』は『死』で完成することを。
故に僕は殺す。
――――メメント・モリ。
死を、忘れるな。
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