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“祝福の鐘”。
蓮華やリナリアが籍を置くギルドの名だ。
周囲を海に囲まれた超巨大人工浮島にして、天を衝く無数の人工の建築物が立ち並ぶ近代的な都市。
先進都市の名を持つミステガルドで活動する、世界でただひとつの学園型人材育成ギルド。
特殊な鉱石を含んだ壁で囲われた広大な敷地内に、教育の為の施設を幾つも有しており、生徒達は不自由なく勉学に励むことが出来る。
「――ここまで来りゃあ充分だろ」
今二人がいるのは、学園を囲む外壁の正面入口から、学園正門までまっすぐ伸びる並木道。この並木道を軸にして、各学生寮に続く分かれ道が幾つもある。
まるでそれが木の根に見えることから、《ルートオブツリー》とも呼ばれている。
登校途中の生徒達に混ざりながら、額の汗を拭って乱れた息を整える。隣のリナリアも少し暑そうにシャツのネクタイを緩めていた。
そんな姿にさえ気品を感じさせ、周りを歩く女子生徒諸君がキャーキャー騒ぐ。
それに気づいたリナリアが手を振る。もちろん爽やかスマイルをそえて。
爆発しろと思わずにはいられない蓮華だった。
「やれやれ、そういうのが勘違いのもとなんだぜ」
「ボクとしては、別に勘違いさせるつもりはないんだけどね……」
「くそう、なんだその余裕は。このイケメン野郎が!」
「それ、けなしてることになるの?」
「…………いや、ならねーな、うん」
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