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がっくり、と落ち込む蓮華をリナリアが慰める。
「くっ、オレだってもうちょっと顔が良ければ、おまえみたいにハーレムをつくれるのに……」
そう漏らす蓮華の容姿は、たてがみを思わせる真っ白な髪に、ちょこんと差したカチューシャ。三白眼に、右目を覆う大きな黒い眼帯が見るものを威圧する。
まるでチンピラ。
それが乱堂蓮華を初めて見る者が抱く印象だ。
そして、一九〇を超える身長に、冬でもないのに首に巻いた長いマフラーや、黒い手袋という奇抜なファッションが、人を遠ざける要因のひとつかもしれない。
ちなみに手袋の理由は、『なんかカッコいいから』である。
王子とチンピラ。あまりに対象的な容姿を比べてしまい、両手を地につくことになってしまった。
「――そんなことないよ。ボクなんかより、蓮華のほうがカッコいいよ。男らしくて逞しくて、そんな蓮華がボクは好きだよ? あとハーレムはつくってないからね」
「リナリア、おまえっ……!」
まるで聖母を思わせる笑みを浮かべ、髪を撫でるリナリアに思わず涙が零れる。
――バカだな、オレは。イケメンだのなんだのと、外見ばかり気にして。こいつがモテるのは、外見がいいからじゃない。こうして他人を気遣える優しい心に、女の子たちは惹かれるんだ。そう、大切なのは中身なんだ。心だ。オレが、オレが間違ってたよリナリア。
「リナリアアアア!」
感極まりリナリアに抱き着こうとした瞬間、
「朝から何小芝居かましてんだテメーらは」
「ぶへうっ!」
謎の罵声と共にスニーカーの底が蓮華の頬に炸裂。
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