葬送曲(レクイエム)

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私は体調が悪い中、学校へと行きました。 あんな夢を見せられて、休める訳がありません。 ゴキブリ並の生命力を持つ直也が、あんなことになるなんて想像も出来ないですけど。 リアルで鮮明に覚えている正夢が、我に返してくれます。 また人が死ぬとこなんて、ましてや直也が死ぬなんて絶対堪えられない。 このままだと狂ってしまいそう、そんな気がするほど滅入っていました。 私がなんとかしないと。 そして教室に入って早々、直也が話し掛けてきました。 「おい内子、ちょっと聞いてくれよ。昨日テレビで見たんだけどさ、俺昨日の火事で亡くなった人見たことあったんだわ。この前のパチンコで袋間違えて持って帰った人の隣に居たんだよ。俺じゃない方の所に。」 私の心配とは裏腹に、昨日の事故の話をします。 私は今日の事で頭がいっぱいなのに。 どうしたらいいのでしょうか。 このままあの時間帯になるまで、何も出来ないのでしょうか。 そう考えている内に、一つ名案が浮かび上がりました。 「直也って、放課後ヒマしてる?」
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