始まりの章

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 その勇気を胸に、今、その場所へ向かう。  秋斗は鏡に移っている自分の顔と見つめ合いながらひと呼吸おく。  いくつか深呼吸を挟み、そして覚悟を決め、早歩きで玄関に向かう。  何度も中身を見直したメッセンジャーバック(肩にかける鞄のこと)を左肩に掛け、玄関で靴を履く。  隣に掛けてある黒いビニール傘を取り、玄関のドアを開ける。  秋斗の心は荒波に飲まれている感覚だった。  傘をさし、秋斗は重い足取りを動かす、全ては目的の為に。  そして、心の中で、こう、呟いた。    
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