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まりあの少しも動じていない強い眼差しを前に、セーラはまた息をついた。
『……あなたに初めて会った時のことはよく覚えてるわ。
桐華の紹介でやって来た、お人形のようにカワイイお嬢さんで、そんなあなたを見た時、世間を舐めきっているようにしか見えなかった。
どんなに桐華の推薦でも絶対に合格なんてさせたくないと思った。
そう思って泣かせるぐらいの勢いで容赦なく切り捨てようとした私に、あなたはまるで帰る場所がない崖っぷちの人間のように、とてもハングリーに私に食い付いてきたわよね。
その時、ただのお嬢さんじゃないって思ったのよ。
それでチャンスを与えた。
あなたがどう変わるのか見たかったの。
そして数ヵ月後の二度目のオーディションで、あなたは見違えるほどに洗練されてきて、最初の甘ったれた世間を舐めきったようなお嬢さんの顔ではなくなっていた。
それでも補欠合格程度に思っていたのに……あなたは瞬く間にマグノリアの顔になったわよね』
セーラはそう言って、まりあを見詰めた。
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