第7話 『求 愛』

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『不必要に騒がれたくなくて。日本に帰国後に実は引退していた程度にして頂けたらと思ったんです』 『分かったわ、あなたがそうしたいと言うなら……』 頷いたセーラに、まりあは『ありがとうございます』と微笑んだ。 『それでは、スタジオに行って来ます』 頭を下げて背を向けたまりあに、セーラは『待って』と声を上げた。 『あなたの引退を樹利さんは……お父様はなんて?』 そう尋ねたセーラに、まりあは足を止めて振り返った。 『樹利はいつも自分で決めたことは責任を取れと言うだけで、他は何も言いません』 『そう……樹利さんらしいわね』 とセーラは少し眩しそうに目を細めて柔らかな笑みを浮かべた。
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