1-2.Unsavory ties

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   尚斗と別れた俺は、すぐに折り返し電話を掛けた。 「あ、翔希だけど。悪い悪い、尚斗と一緒だったもんでさ……そう、その件について。いやあいつも本気だったんだしさ、罰ゲームがたまたま上手くいったからってそう躍起になんなよな」  電話の相手はクラスの奴だ。え~っと、アレだ、非リア同盟とかいうやつ。尚斗が普段よく一緒にいる奴らの1人だ。  まー予想はしてたけどあいつら、どうも尚斗の告白が上手く行ったのが気に食わないらしい。罰ゲーム……つまり振られる前提で告白させたんだからそうなるのも仕方ないけど。 「わかってるって、俺もタダで引きさがれとは言わねぇよ。は? ったく……わかったよ、つっても今ある訳じゃねぇからその内な。大丈夫だって嘘じゃねぇよ」  そう言い俺は電話を切る。結局クラスの女の子の写メを送る事で話が解決した。何つーか、面倒だけど単純な奴らだ。 「ったく、こうなるのわかってっから振られたって事にしときゃ良かったのに……」  あそこで尚斗をフォローした事に少し後悔した。振られた事にしとけば非リア同盟とやらも大人しくしてたのに。尚斗って自分の事でいっぱいいっぱいになると周りが見えなくなるんだよなぁ。  だから俺としても面倒だし振られた事にしときたかったんだが、まーあの落ち込みようは見てらんなかった。あのままだと明日学校休んだかもしれないな。  しっかし、罰ゲームとは言え尚斗が告白するとは。しかも春川さんて、いきなり凄いとこ行ったなあいつ。あの子他のクラスの奴とか先輩からも人気あるってのに。  でも、友達からか。尚斗にはああ言ったけど、告白を遠回しに断る時に友達からって言う子も実際いるんだよなぁ。春川さんも面と向かってごめんなさいって言うタイプじゃなさそうだし。  尚斗に内緒で春川さんに訊いてみるか……いや、春川さんは俺と尚斗が仲良いの知ってるだろうし、そうなったらきっと気を遣うよなぁ。春川さんと仲の良い子にそれとなく訊いてもらうか。一緒に弁当食べてる人の何人かは連絡先知ってるし。 「ったく、世話の焼ける奴だなー。くくっ」  1人でそう言いながら俺は笑い、メールを打ち始めた。  
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