1-2.Unsavory ties

3/8
前へ
/260ページ
次へ
   俺、海部翔希とあいつ、音無尚斗はまぁ俗に言う腐れ縁と言う奴で、お互い物心付いた時からの知り合いだ。  だから俺はあいつの事はかなり知ってるんだけど、ま~あ変わったやつだ。趣味が今までいくつあったのかどころか、今いくつあるのかもわからない。  尚斗は家が中々裕福で、そのため昔っから色んな事に手を出している。しかも結構器用だから大体の事がそれなりにできるようになる。高校に入学してから1人暮らしをしているけど、料理を始め家事全般は中学生の時にはほとんどできるようになっていた。簡単な裁縫なんかもお手の物だ。  そして俺はと言うと、見た目には結構自信がある。っつーか、かなり。告白された事は結構あるし、付き合った子の数も俺の年齢にしてはかなり多い方だろう。  と、まぁそんな事を言うと俺がかなり凄い奴に聞こえるけど、実際はそうでも無い。なんつーか、外見には自信があるが中身がスッカスカなんだ。  俺は尚斗みたいにそんなに趣味も無いし、料理とか一切できない。裁縫に至っては中学の家庭科の授業で針の穴に糸を通すだけで1時間費やした事もあるレベル。基本的に不器用なんだよな、昔っから。  勉強も嫌いでテスト前に一夜漬けが基本。そんなだから点数も60点行けば良いとこだ。テストに関しては尚斗も同じようなものだけど。  運動も走るだけなら得意だけど、まー不器用だから球技とかは酷い。野球をすれば投げたボールが誰もいない所に飛んでいくし、サッカーをすればドリブルしてる内にボールがどっか行っちゃうし、テニスをすればボールがコートに入らない。バスケをすればボールを蹴ってコートの外に出してしまう。  実際の所、そういうのに幻滅されて別れた子って結構いる。基本的に外見だけの男だからなぁ、俺。ちょっと考えればわかるだろうけど、付き合った子の数が多いっていうのはそれはつまり別れた数も多いって訳で。振ったにしろ振られたにしろそれってどっかに問題がある。俺の場合はそういう事だ。  だからか、俺は結構尚斗に憧れてるんだよなぁ。あいつ顔も悪いって訳じゃねぇし、もっと女の子と話すようにすればモテるのに。  俺の家は尚斗が今住んでいるアパートから10分くらい歩いた所にある。ちなみに尚斗の実家のすぐ近くだ。  つまり尚斗は実家から徒歩10分の所に1人暮らしをしている訳なんだが……正直、尚斗の両親は理解できん。  
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加