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俺の両親は合コンで知り合ってそこから1ヶ月で結婚したって言う、中々珍しい2人だ。
そんな両親を持つ俺から見ても、尚斗の両親はちょっと信じられない。悪い意味では無いんだけど何つーか、変な2人だ。
何せもう何年もずっと別居してるからなぁ。そういうのに関しては俺も他人だから色々言う訳にもいかねぇけど。
「……ん?」
そんな事を考えながら歩いていると、どこからか子供の泣き声が聞こえてきた。
ちょっと行った所に公園があるけど、そこからか……? 迷子かもしれねぇし行ってみるか。
「あ、いたいた……」
公園まで行ってみると、中で男の子が泣いていた。恐らく幼稚園児。周りに人はいないからやっぱり迷子か……。
「よ、こんにちは。どうしたんだ?」
「ヒック、えぅ、うぅ……」
声を掛けてみると男の子が何かを言いたそうにこっちを見てきた。でも嗚咽が酷くて声が出ない。だめだなこりゃ。
「ちょっと待ってろ、確か昨日買った飴がカバンの中に……」
そう言い俺はカバンを探る。あったあった、フルーツ味の甘いやつだからこの子でも食べれるだろう。
「ほら、やるよ」
その子はポロポロと涙を流しながらも飴を受け取り口に運んだ。さてと、親を探さないと……つっても他に人がいないんだよなぁ。この辺りは人通りもあんまり多くないし。正直迷子なんて初めてだ。
「お母さんと一緒に来たのか? それともお父さん?」
そう言うと男の子は首を振った。
「1人?」
また首を振る男の子。参ったなぁ……泣き止むのを待つか、交番に連れていくか……。
「龍之介!」
悩んでいると、遠くから女性の声がした。公園の入り口に女性が立っている。女性と言っても、俺と同い年ぐらいの子だ。
「お姉ちゃぁん!」
男の子が泣きながらその子の所へと走っていき抱き付いた。あぁ、姉さんと来てたのか。
「すみません、少し目を離した隙に見失ってしまって……」
「いやいや、俺もたまたま通りかかっただけだから……」
そう言い俺は無意識にその子の……と言うか、その子と一緒にいる大勢の子どもを見た。さっきの男の子と合わせて5人だ。
「大変そうですね……」
「えぇ、私だけ年が離れてて世話をしなくちゃいけなくて」
その子は軽く笑いながらそんな事を言った。真面目で大人しそうで、それでもしっかりした子ってイメージだ。
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