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「全員兄弟なんですか?」
「そうなんです。6人兄弟で」
「うへぇ、そりゃ大変だ」
しかもこの子以外全員小学校低学年から幼稚園児ってぐらいの大きさだ。
「あっ、その制服。陽山(ヨウザン)高校の方ですか?」
「ん、そうですそうです。あ、もしかして……」
「えぇ、私もなんです」
そう言い微笑むその子。同じ学校か、見た事無いなぁ……。
「そう言えばその茶髪、見た事あるような……あ、ひょっとして海部君?」
「わっ、正解。何で知ってんの?」
「友達から聞いたんです。あ、私は1年B組の秋葉原好美(アキハバラ コノミ)って言います」
「あ、秋葉原?」
「ふふっ、そうなんです」
秋葉原、言わずと知れた東京の地名だ。行った事は無いけど。そんな名字の子っているんだなぁ……。
「にーちゃん! 俺にもアメくれー!」
この子達全員秋葉原って名字なのかぁ、なんて思っていると男の子がそんな事を言ってきた。さっき泣いてたのとは違う子だ。どうやらさっきの子がアメを持っている事を教えたらしい。
「はいはい。全員分あるからみんなにやるよ」
そう言い俺は鞄から再びアメを取り出し、袋を開けて全員に手渡す。男の子が3人に女の子が2人。賑やかだなぁ。
「ありがとーにーちゃん!」
「ありがとうございます」
「おうよ。良かったら秋葉原さんも1つ」
「良いんですか?」
「もち。あと同い年なんだし敬語は良いよ。俺もその方が楽だしさ」
そう言いながら飴を渡すと、秋葉原さんは「ありがとう」と微笑んで飴を口に運んだ。改めて見ると、肩までの長さの黒髪が似合っていてかわいい。
「この辺に住んでるの? 見た事無いけど」
「先週引っ越してきたの。それで色々見て回ってたんだけど急に龍之介がいなくなっちゃって。この子寂しがり屋なのにすぐにどこか行っちゃうから、よく迷子になって泣いてるのよ」
「龍之介って言うのか。カッコいい名前だなぁ」
まぁ翔希も負けて無いと思うけど! ちょっと前はテレビのせいでアマちゃんって呼ばれたりもしたけど……。
「あ、そうだ。この辺案内しよっか? 病院とか結構わかりづらい所にあるんだよな」
「そうなの? それならお願いしても良いかしら」
秋葉原さんがそう言い微笑む。女の子には優しくするのが俺のモットーだ。今まで付き合った事無いタイプだけど、結構かわいいし。
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