29人が本棚に入れています
本棚に追加
まず最初に案内したのは、公園から出て少し歩いた所にある一軒家だ。
「ここは?」
「俺ん家。荷物置いて来るからちょっと待ってて」
そう言って家の鍵を開けて中に入る。制服のままでも別に良かったけど秋葉原さんが私服だったので俺も私服に着替える事にした。
「ん、お待たせ。じゃあとりあえず病院から案内するかな」
「お願いします」
律儀に頭を下げる秋葉原さん。同級生とは思えないほど礼儀正しいな……普段から子供達の世話をしてるからか?
「海部君はずっとこの辺りに住んでるの?」
「あぁ、生まれた時からずっと。良いとこだよここ。大体1キロも歩けば病院も公園もコンビニもスーパーもあるし、月に1回ゴミ拾いのボランティアがあるから綺麗だしさ」
「あぁ、ゴミが落ちてないと思ったけどそういう事だったの。そういうのって良いわね」
そんな話をしながら町を歩いていく。病院、コンビニ、スーパー。ついでにさっきとは別の公園にも行った。こっちの公園は中々広い公園で桜やもみじが多く、その時期には散歩をしている人が沢山いる。
ちなみに、そこまでで龍之介は4回走ってどこかに行こうとした。先に気付けたから良いものの、こりゃー秋葉原さんが見失うのも無理は無い。
「もう、離れたらダメって言ってるのに……」
「はははっ、元気があって良いじゃん。っと、こらこら龍之介早い早い」
またどこかに走っていこうとした龍之介の腕を掴んだ。5回目。
「海部君って子供の扱い馴れてるのね」
「妹がいるからそのせいかな。1つ下だけどよく世話してたし」
「へぇ、妹がいるんだ」
「良い子だよ。俺に似て!」
「ふふっ、海部君に似てるならきっと良い子ね」
そう言って笑う秋葉原さん。ボケたつもりだったんだけど……まぁ良いか。
最初のコメントを投稿しよう!