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「それってさっき言ってた、こっちから何かするって話?」
「あぁ。まず、この話は春川さんはもちろん、秋葉原さんにも内緒な。反対すると思うから。だからわざわざ帰してから集まったんだ」
そう言われ、俺は頷いた。反対されるって事はあまり良いやり方じゃないのかもしれないけど、何であれ解決策があるならそれにすがるしかない。
「念のため言っておくが、力ずくでどうにかするのはやめた方が良い」
「もちろん。やっても勝てないし、例えそれで勝ったとしても後に引きずるのは嫌だし。やることはシンプルに1つ」
翔希はそう言って人差し指を立てた。一体どんな方法で……。
「諦めてくれって言う」
「そ、そんな簡単に諦めてくれたら何もーー」
何も苦労はしない。そう言い掛けていた所で、翔希は立てていた指をそのまま俺に向けた。
「こいつがサシで」
「は、はぁ!?」
思わず俺は立ち上がって大声を出した。周りの人がこっちを向いたのが見え座り直す。
「な、なんで俺が、しかも1人で……」
「まぁ、それが1番良い方法だろうな」
翔希に問いただしている中で、榛葉先輩はやけに納得したような声でそう言った。
「良いか尚斗、よく聞け。話し合いっつーのは多対一じゃ成立しない。大勢でけしかけたら喧嘩になるだけだ。だから、話しに行くのは1人だ」
「だ、だとしてもなんで俺?」
「音無しか言えないだろう。すでに春川と付き合っているから手を退けなどとは」
榛葉先輩のそんな言葉に今度は声も出ず、立ち上がる事もできなかった。
「な、つ、付き合って、って……」
ようやくそんな声を絞り出した。翔希の方を見たが。翔希はうんうんと頷いていた。
「ちょ、ちょっと待ってください。その、春川さんとは付き合ってる訳じゃ……」
「そういう事にして話をするというだけだ」
「俺も春川さんが好きだから手を退け、っつーのじゃ弱いからな。ここは付き合ってるテイでいった方が良い」
「そ、そんなのがバレたら……」
「バレなきゃ良い。っつーか、バレようがねぇだろ。契約書がある訳じゃねぇんだから」
「それはそうだけど……」
俺はそう言い額に流れてきた汗をぬぐった。心臓の動きが早まり、それにつられるように呼吸が荒くなっていく。
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