8ー1 危機

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  「ともかく、俺が考えた解決策はこれだ。っつーかこれ以外俺には思い付かなかった」  翔希がお手上げと言わんばかりに両手を挙げた。それに対して何か言おうとしたけど、俺には返せる言葉が無かった。   「俺も現状はそれしか無いと思う。ただ、あまり賛成はできん」 「ま、成功率が多少高いっつーだけだし、無事で帰ってこれるかわかんないですし」 「ぶ、無事でって……」  俺は思わず体を震わせた。でも考えるとその通りだ。こっちが話し合いのつもりだったとしても、向こうがそれに合わせてくれるとは限らない。 「榛葉先輩は他に何かあります?」 「海部が言った方法を選ばないなら、実際に被害が出るまで待つしかない。そして被害届を出す。そうすれば警察が動く。確実性はあるが、被害が出てからしか動けない。学校側も、うちの学校の生徒が被害者ならば動かない訳にもいかないはずだ」  榛葉先輩の言葉に、翔希は納得したように頷いた。確かに今は警察に相談しても無駄かもしれないけど、状況が変われば無駄ではなくなる。  でも、それはつまり、陽菜さんの身に何かがあった後になる。 「尚斗、どうする?」 「お、俺が決めるのか?」 「話し合いの場合動くのはお前だからな。どちらを選ぶかは俺や海部が決めるべきじゃない。俺はまぁ、正直に言うが俺が言った方を勧める」  榛葉先輩にそう言われ、俺は恐る恐る翔希の方を見た。翔希は俺と目が合うと、軽く息を吐いて笑った。 「どっちを選ぼうと怒りはしねぇよ。怖いっつーのは当然だししょうがない。俺だって当事者じゃねぇからあれこれ言えるだけだしな」  そう言われ、少し安心した。2人は黙って俺を見た。俺がどっちの方法を選ぶか待っているのは明らかだった。  成功するのなら。そりゃあ成功するってわかっていれば話し合いを選ぶ。でも、上手くいかない可能性だってあるし、むしろそっちの方が高いんじゃないか。だって、俺の戯れ言を黙らせるなんて簡単にできる。  殴られて痛いだけで済めばまだマシだけど、怪我をするかもしれないし、軽い怪我じゃ済まない可能性だってある。それで終わればまだ良いけど、何も解決しなかったら本当にただのやられ損だ。 「俺は…………」  
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