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「音無君?」
「あぁ、うん。ごめんごめん。えっと……」
何も言わない俺に疑問を抱いたようで、陽菜さんは首を傾げて訊いてきた。やばい、変に足の事なんて訊いてしまったから言うタイミングがわからなくなってしまった……。
とは言ってもこのまま時間を潰すのは陽菜さんにも悪い。ここは心を決めて言うしかない!
「その、春川さん!」
「は、はいっ!」
「好きです! 結婚してください! って違うッ!!!」
何でプロポーズしてんだよ俺はぁぁぁ!!!
「け、けっこんっ? そんな、だって私達高校生だし、その……!」
「あぁいや、ごめん、違う。今のは違うんだ。間違えた」
そう言って慌て出した陽菜さんを落ち着かせる。
「え、えっと……春川さん」
「は、はいっ」
勢いで言うつもりだったからこうして改めるとかなり言いづらいな……いや、もう陽菜さんもわかってるだろうし、ここで躊躇しても仕方ない。
「その、付き合ってください。と、言おうと、して……」
段々声が小さくなっていくのが自分でもよくわかった。
「え、えぇっと、その……」
顔を俯けて言い淀む陽菜さん。あぁ困ってる。困るって事はほぼごめんなさい確定って事で、いやそりゃーわかってたけど、心の隅でもしかしたら、なんて思ってない訳では無くて……。
「その、私音無君の事あんまり知らないから……友達から、とかじゃだめ、かな?」
「……へ?」
何、今この子はなんて言ったんだ? 友達? 友達から?
「あ、そうだよね、そういうのじゃ駄目だよね。えっと……」
「や、いやいやいや全然全然全然。是非それで、友達からで!」
急いで俺はそう言い頭を下げる。断られるより1000倍マシだ。っつーかもう俺としては文句ナシ!
「あ、そう? 良かったぁ。じゃあ友達から、と言う事でよろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
深々と頭を下げる陽菜さんにつられてほぼ直角に頭を下げる俺。そこからどうやって教室に帰ったかは全く覚えていない。
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