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「おっ、何だお前、もしかして成功? 成就?」
「んん、翔希。どうしたんだ炭酸苦手なお前がコーラ買うなんて」
「んだよ、振られた時の為って言ったろ。で、どうだったんだよ、その顔からしてOKか?」
「まぁまぁまぁまぁ」
「なんだよ勿体ぶるなよ~!」
にやにやしながら翔希が前の席に座って訊いて来る。
「OKとまでは行かなかったけど、一応友達からって」
「あ……ふぅん、そうか」
「ちょっなんでいきなり冷めてんだよ!」
「ん? あぁいやいや、何でも無い何でも無い。良かったじゃねぇか振られなくて」
「もうホントだよ、絶対振られると思ってたし。そしたら俺明日から何を楽しみに学校来たら良いか……」
正直他の楽しみなんて無いから学校行く意味も無くなる所だった。
「まぁ友達って言っても友達からだし、友達からと言う事はつまりその先を見据えての事だからこれはほぼ成功と言っても……」
「あー、尚斗、尚斗?」
「ん?」
俺のテンションとは裏腹に微妙な笑顔を見せる翔希。
「それ、遠回しに振られてんじゃね?」
「……え?」
「いや、そりゃ面と向かってごめんなさいは言いづらいだろ? だからとりあえず友達からとは言ったものの……」
何かが俺の心に刺さった。
うわ、マジで? そういうパターンあるの?
「……コーラ、飲むか?」
「……貰っとく」
翔希の手からコーラを貰い、蓋を開けて1口飲んだ。視界の隅で一瞬陽菜さんがこっちを見てたような気がした。でも飲むのをやめてそっちを見ると目を逸らすように一緒に食べていた女子の方を向いてしまう。
「ぷっ! くくくっ、お前やっぱおもしれーわ」
「は?」
「いやいや、ごめんなさいは言いづらくても私好きな人いるから、ってやんわり断るのが普通だろ。嫌いな奴にとりあえず友達から、なんて言う訳ねぇだろ。ジョーダンだよジョーダン!」
そう言って笑いだす翔希。冗談……だと?
「お前の反応ホントおもしれーわ!」
「お前の冗談はお前が思ってる以上に心に来るんだよ!! コーラ返すわ!」
「まーまーお祝いって事で貰っとけ。どーせ俺飲めねぇし」
そう言って翔希は笑いながらパンを食べ始める。そこで俺も昼飯を買ってない事に気付き財布を持って教室から出ていった。
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