蔓延った世界

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彼の名前は シエル。 ただのシエル。 名字はない、らしい。 シエルは蒼い髪をなびかせ走って行った。 今の時刻は早朝午前4:12 毎朝シエルは新聞配達のバイトをしている。 早寝早起きが元々得意なシエルにはもってこいの仕事だ。 彼の髪の間からチラチラみえるもの。 ミミだ。 彼のミミは普通の耳とは全く違う。 猫みたいな、狼みたいな。 獣ミミがちょこんとある。 いつもは活気溢れる商店街もこんな朝早くとなるとどこもやっていない。 車の走る音さえ聞こえない。 聞こえるのは吐息の音と足音だけ。 もう14分。 あと1分で遅刻。 シエルは徐々にスピードを出し始める。 ガララッ
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