蔓延った世界

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「ハッ…ハァッ…せ、セーフ?」 そこには息を切らしているシエルの姿があった。 ぱっと腕につけている安物のデジタル時計を見る。 14分57秒。 ギリギリセーフだった。 「アウト。」 顎髭を生やしたいかついおじさん。 あまりの声の低さにびっくりさてしまう。 「板東さん!!」 板東さんとはシエルの働く新聞配達のところの一番偉い人だ。 64歳という微妙な年齢だがとても元気な人。 シエルがすごくお世話になっている。 「な、なんでですか。板東さん!」 シエルは走り寄り、180はある板東さんを見上げた。 「タイムカード通してない。」 「あ゙。」
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