マジ?

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一緒にいるのは… そう先月の雪の日、翔大と飲む前にコンビニで見た、あの女性だった。 よく見るとあのコーナーは、旅行や地域情報の雑誌が置いてあるところ。 しばらくしたら今度は婚活情報誌系の本を見て話している。 (なんなの、その人はだれ? なんでそんなもの見ているの?) 2人で旅行情報誌や婚活情報誌を見ているということは… どうしても悪い考えしか浮かばない。 気づいたら本棚の陰に隠れて様子を伺っている私。 (私、なにやっているんだろう、最低じゃない。) 思わず2人に気づかれないように小走りでその場を立ち去った。 今は、どうしてもまっすぐ帰る気にならなくて、いつも曲がる道をそのまままっすぐ早足で歩く。 (15年ぶりに勇気を振り絞った結果がこれ?) 冷たい風が追い打ちをかける。 (寒すぎて、涙まで出てきたじゃない。 私、馬鹿みたい。) 少し商店街から離れたコンビニの前で立ち止まった。 数十分前の、私以外の人と楽しげに笑ってる姿を思い出す。 (うそつき、 好きな人いないなんて言って。) 曇った目で澄んだ星空を眺めた。 (ねぇ、翔大、 本当に遠くに行っちゃうの? やだよ、 そんなのないよ。 私を独りにしないでよ。) コンビニの駐車場でしゃがみ込んで声を殺して泣いた。 どれくらい経っただろう 1時間?2時間?いえ、10分なのかもしれない。 泣き疲れたけど立ち上がる気力も無く もう、どうでもよくなって、しばらくそのまま座っていたら、 ツンツンと肩をつつかれた。
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