マジ?

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「あ、そこでいい?千秋。 なにがあったか知らないけど 悪いことばかりじゃないから。」 「ありがと。聡美。」 今日は聡美に会えたこと以外は悪いことだらけだった。 でも聡美に会わなきゃ知らなくて済むことも知ってしまった。 やっぱり、悪いことだらけだ。 聡美のせいじゃないけど。 「なんかあったら連絡ちょうだい。 話くらい聞けるから。 じゃあまたね。」 聡美のプリウスが静かに走り去っていった。 部屋に帰ってもなにもする気にならなくて、化粧も落とさずベッドに倒れ込んだ。 この部屋にいても翔大の影を追ってしまう。 翔大はいつもテレビの正面に陣取って 緑のクッションに座って 350缶片手にどうでもいい話を楽しげに話す。 さっきまでタレントの悪口言ってたかと思うと 中国はヤバイとか言って真面目な話始めたかと思ったら アニメの話になったり そのどうでもいい話が心地よかった。 そのなんでもない時間が好きだった。 でも、たまに話に喰いつくと私の飲みが足りないと言いながら、ツマミを食い散らかす。 ひとの部屋なのに勝手に冷蔵庫は開けるわ トイレ行けば電気はつけっぱなしだわ あげく私のベッドで勝手に寝ちゃうし。 本当に翔大って、大雑把で雑で無神経なヤツなんだから。 ほんと誰かがついてないと… でも、 その役は私じゃないみたい。 もう疲れた。
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