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「英里ちゃんのこと本気で好きだから、当然キスしたいし、それ以上のこともしたいよ。
だけど、早まったことをして、もし英里ちゃんを傷付けちゃったり、英里ちゃんが僕のことを嫌いになったりしたら嫌だから…せめて卒業するまでは何もしないって決めてたんだ」
“決めてたんだ”って……
「何でそんな大切なことを一人で決めちゃうの!?
何で私に相談とかしないの!?」
「だって、英里ちゃん優しいから“遠慮するな”とか言いそうなんだもん」
…確かに、言ってただろうけど…だからと言って、こんな大切なことを何も相談無しに決めるというのも酷い。
「私が…どれだけ不安になってたと思うの…」
「ごめんね…。
でも これはね、僕なりのケジメでもあるんだ。だから、もう少し待ってて?」
クゥのいつにないくらいの真剣な顔に…私はこれ以上責めることは出来なくなった。
それに…クゥが私のことをこんなに大切にしてくれたことは…素直に嬉しいし…。
「……わかった。
クゥは私のためにそうしてたんだもんね」
「うん。でも代わりに…卒業して、高校生になったら英里ちゃんのこと、僕の好き放題にさせてねっ♪」
クゥは異常なくらい可愛らしい笑顔でそう言った。
しかも異様に生き生きとしている。
嗚呼…この顔はとんでもないことを考えている上に、拒否は断固許さないという顔だ…。
謂わば、腹黒い笑顔だ。
これに逆らうと後が怖いことは、長年彼と一緒にいる私が一番よく知っている。
でも…そうだと分かっているのに、この可愛らしい笑顔が一番好きだなんて…私も重症だなぁ…。
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