乗り心地

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私の仕事は人を乗せること。 私は私に乗る人が幸せになってくれることが一番うれしい。 だから少しくらい蹴られても 定員より多い人に乗られてもそんなことは気にしない。 人は私の上でいろいろな景色を見る。 芽吹いたばかりの新緑や日差しが照りつける青い海、 燃えるように色付く森林や銀色に輝く遠い山並み。 そんな景色を見た人々が感嘆してくれることに幸せを感じるのだ。 私の幸せはそれだけではない。 私の上で人々が幸せそうに語り合う様子も好きだし、 喧嘩してしまった二人が仲直りする様子もなかなかのものだ。 時々は私で寝てしまう人もいる。 そんなとき私はとても自慢に感じる。 寝心地を特色にしている連中がいるのにも関わらず 心地よさそうに私の上で寝る人もいる。 これは自慢してもよいことだろう。 ◇ 私はリビングのソファー。私の正面にはテレビが置いてある
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