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小さな部屋に、大人数の大人たちが、大音量の音楽を流し、踊っていた。
「はい。じゃあ、今日はここでお終いです」
講師のその言葉で、みんなが一斉に帰りだした。
私は急ぐ理由などないため、ゆっくりと帰る用意をしていた。
「詩音(しのん)ちゃん、一緒に帰らない?」
声のほうに振り返ると、霧島くんが立っていた。
「どうしたの?急に」
「ああ。誰かと飲みたいなって思ったんだけど・・・どう?」
「二人で?」
私はそう言いながら嫌そうな顔をしたら、
「ちゃんと、崎野も誘ってあるから、そんな顔しなくても大丈夫だよ」
二人だけじゃないと知り、胸を撫で下ろした。
霧島くんが嫌いって訳じゃないけど、なんとなく苦手だ。
「おう、揃ったか。 じゃあ、行くか」
崎野くんも来たようで、三人で近くの居酒屋に入った。
適当にいろいろなものを注文し、旬な話題にはなを咲かせていた。
「詩音ちゃんにずっと聞きたかったんだけど、なんでダンススクールに通っているの?」
霧島くんに質問され、少し困っていた。
ダンスが特別好きって訳じゃないし、理由という理由がなかった。
無難そうな「大学生活が暇だから」という答えを返しておいた。
その言葉を聞き霧島くんは、少し納得のいかない感じだった。
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