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プルプルプルプル
携帯を見ると、霧島くんからの電話だった。
「もしもし」
『詩音ちゃん? ごめん、さっき別れたばかりなのに』
「いや、いいけどどうしたの?」
『俺が発端だったから申し訳ないけど、明日予定があったんだ』
「そうだったんだ」
私は驚きもあるなかで、嬉しさもあった。
『だから、明日は二人で行ってくんない? 崎野には、俺から連絡しとくし』
「うん。わかった」
『なんか、嬉しそうだね』
見透かされていた。
霧島くんのこういうところが苦手だ。
「そんなことないよ」
『崎野のこと、好きなんでしょ。あんな無愛想な男の、どこがいいの?』
「崎野くんはいい人だよ。 私のこと覚えているか分からないけど、同中だったんだ。 すごく優しくて、気付いたら好きになっていた。 だけど、突然消えたんだ。学校の課外授業で山登をしたんだけど、そのとき行方不明になって。一時は、死んだと思ってた。だけど生きてた。何があったのかは知らないけど、もう後悔したくないなって思って」
『そうだったんだ』
「あっ、ごめんね。変な話でしょ」
『そんなことないよ。なんか俺も疑問に思ってたから、今納得したよ。 まあというわけで、明日は楽しみなよ』
「うん、ありがとう」
そう言って電話を切り、明日に備えて寝る事にした。
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