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小回りの笠松競馬場、しかも800mしかないレースでは致命的とも言える出遅れだったが、持って生まれたスピードの違いでぐんぐん距離を詰めて行く。
しかし、4コーナーを回った時点で先頭との差は10馬身以上、直線の短い笠松では絶望的とも思える位置だったが、そこからさらにギアを上げたオグリヒーローは他馬が止まって見える、いや、他馬が逆再生しているのではないかと錯覚するほどの切れ味を見せる。
このまま行けばゴール直前に先頭の馬を交わす、見ている者全てがそう思った。
しかし、先頭の馬に馬体を合わせた瞬間に相手に噛みつきに行き、写真判定の結果、首を曲げて噛みに行った分だけ負けてしまっていた。
レースを目の当たりにしたファンはアイドルのいきなりの敗戦に落胆したが、それ以上に圧巻のレースぶりに興奮した。
めちゃくちゃなレースでの敗因について問われた調教師もジョッキーも「今日は機嫌が悪かったんでしょう。気まぐれな馬だから」と口を揃えた。
その言葉どおり、再審査、未勝利戦と全く問題無く通過し、兵庫ジュニアグランプリ、全日本2歳優駿も気分良く走って楽勝し、NAR2歳最優秀牡馬に選ばれた。
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