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『ひなた……アンタ、何があったの? てっきり、今のカレシと結婚するんだと思ってたのに』
「いやー、私もそう思ってたんだけどね。何かもう、浮気とかされちゃってさー、ありえなくない?」
『ええ!?』
「まあまあ、いいじゃんこの話は! 今度ゆっくりってことで。
……それより、わざわざ電話してきたってことは何か用事でしょ? なにかあった?」
尋ねると、マサミはちょっと気まずそうな声を出す。
『今のアンタには残酷な話題かもしれないけど。
ほら、来月ユミコの結婚式じゃん。その出し物の打ち合わせをするために近いうちに集まろうって、お誘いだったんだけど』
「あ、そっか! そうだよね。OKOK!
つか、変な気を使わないでよ。自分がカレシと別れたからって、友達の幸せを喜べないくらい、寂しい女じゃないよ、私」
ユミコは、マサミと同じく高校時代からの友達。
高校のときから付き合っていた同級生の高石くんと、とうとう結婚することになったのだ。
『……そう? まあ、二次会で出会いを探すって手もあるしね』
「そうそう。伊勢さんみたいな人がいるかもしれない!」
『……はいはい』
ちょっと無理にはしゃいでる内に、本当に気分が前向きになって来ているように感じた。
我ながら単純だけど、悪くはない。
だけど、次の瞬間、マサミから思わぬ爆弾が投下された。
『それかー。やけぼっくいに火が……ってのもアリだよね』
「え?」
『知らない? 朝倉、今こっちに戻ってきてるみたいだよ。
ユミコたち、結婚式で流すビデオの編集頼んだんだって』
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