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「……朝倉……」 突然の名前に、頭が真っ白になる。 目の前に過去の景色が広がった気がした。 『朝倉、自費製作の映像で、なんか賞取ったらしいよ。 一般では知られてない賞だけど、その道では有名なものらしくてさ。 すごいね、アイツ。高校のときに言ってた夢、叶えていってるんだね』 「…………」 マサミの声が、遠くから聞こえる。 ……朝倉。 朝倉 朔真。 高校3年生のときのクラスメイト。 スラリと背が高くて かなりつり目で、ちょっと三白眼 だから、いわゆる悪人面に見えなくもないけど いつもニコニコ笑ってるせいか、あまり恐い印象はなかった。 自分から話しかけるタイプじゃないけど、話しかけられたら愛想がよくて、 結構ひょうきんで 下らない冗談が好きで 私はアイツといるとき、ずっと笑っていた。 だから、高3のとき私は毎日笑っていたことになる。 そう 私はいつも朝倉のそばにいた。 朝倉は、私の初めてのカレシだったんだ。
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