先生と僕 ① 

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 僕がショウイン先生を久しぶりに見たのは、良く晴れた日の午後だった。  夏の暑さは既に去り、穏やかな秋の陽光が僕の背をほかほかと暖めている。  城下を流れる小川の淵で、先生はのんびりと釣り糸を垂れていた。 「先生、お久しぶりです」  釣りの邪魔にならないように、僕は控えめに声を掛けた。  ついこの前のことだったように思えるが、先生の道場をやめてからもう四年が経っている。 「やぁ、マナデール君じゃないか。久しぶりだな」  先生は四年前より少しだけ痩せていたが、相変わらず青白い顔に無精髭を伸ばし、以前と同じちょっとタレ目の情けない顔で僕を見て笑った。  心地よい秋風が岸辺の葦を微かに揺らす。  僕も笑顔を返して、先生の隣に腰を下ろした。  川の流れは緩やかで、岸から2㍍ほどの所まで底が見えている。  先生の他に釣り人の姿は無く、白い浮きが一つだけ、川の中程で寂しげに浮かんでいた。 「今どうしてるんだ?」  一向に動く気配のない浮きを眺めながら先生が聞いてきた。 「今はお城で臨時兵として働いてます」  僕も浮きを眺めながら答える。金貨十枚賭けてもいい、あの釣り糸の先に餌は付いて無い。いや、餌どころか、針がついているかどうかも相当怪しい。
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