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春。
桜の花びらが辺り一面に降り注ぎ、まゆりの視界までもをピンク色に染めた。
「鷹白高校 合格発表」と書かれたボードの前で、まゆりは友達の『夏海 かんな』と『夢崎 ちひろ』の手を握りしめて、溢れる涙を押し殺した。
二人は成績優秀で、第一志望高は当然、県内トップクラスの高校さえ行ける余裕があったのだ。
反面まゆりは、成績は中の下。
高校は限られた所しか選ぶ資格は無かった、が、二人に手伝ってもらい、勉強付けの毎日を送り通した。
「あ、あった……あったぁあああ!!」
「まゆりおめでと!」
「これで三人で通える」
びっしりと印刷されたボードに、合格を示す『426』という文字が書かれていた。
雨の様に降り注ぐ桜なんてもう関係ない。
「うぁあん、ありがとぅ!!かんなちゃん!ちひろちゃぁあん!!」
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